お昼になっても食欲がないため食堂で飲み物だけを飲んでいた。
と、その時。
「……季蛍先生」
「あれ?島内さん」
「……ここ、よろしいですか?」
「あ、どうぞどうぞ」
向かい側に座った島内さんの目は、涙目になっているような気がした。
「……昨日の件…なんですが」
「うん」
手に持っていたカップを置いた。
島内さんは少し俯いていて、また顔を上げてから
「蒼先生には言えませんでした…タイミングを逃してしまって。
……だけど…耐えきれなくて……」
やっぱり気のせいじゃなかった。
島内さんの目からは、涙が流れて、頬に一筋跡を残した。
「……昨日、帰る際…また更衣室で…蹴られたんです」
「えっ?」
「……点滴もろくに出来ないならやめろ、と。」
「…………」
「……あ、これありがとうございました。洗ったので…」
そう言って綺麗に畳まれたハンカチを差し出されたけど、押し返した。
「えっ……」
「使って?」
そう言うと、更に涙を溢れさせ、私のハンカチで流れる涙を拭っていた。
「………もう、耐えきれな……く…って」
「島内さん、場所…変えよう?」