「……それで、話に戻るけど。仕事、辞めたい…って?」







「……それから患者さんの前にたつことが怖くなってしまって。



点滴するときも手がものすごく震えて患者さんに心配されるくらいなんです。


本当……私、情けないですね…」










「そんなことないよ。……島内さん」










季蛍がそう言えば、微かに微笑んでくれた。










「…だからそれから点滴すら怖くなって。患者さんの前に立つことも。



果織ちゃんの検温ですらまともに落ち着いていられなくて…迷惑かけてしまうのは蒼先生だし…」








「いや、俺は迷惑だなんて思わないよ」










「………看護士としての仕事をできないなら辞めるべきだと…」









「でもそれって先輩にやられて怖くなったんでしょ?

なんか悔しくない?……先輩のせいで自分が辞めなきゃいけないの。」









季蛍が思わず声を上げた。









「しー……」








「あ、ごめん…」