「さっき吐いた」 黙っていた季蛍が唐突に言うもんだから、一瞬沈黙が流れた。 「……吐いた?」 「うん。今朝食べたもの全部吐いた。だから何も食べたくない」 正直に言ったからといって開き直る季蛍。 「ねぇ、吐いたってさ。どういうことかわかってる?」 「バカにしないでよ。……わかる」 「バカにしてないだろ…。別に。 ただ吐くのはちょっと…あれなんじゃないの?」 「……なんか胃が受け付けてくれなくて」 「………」