ガラガラ………─────
息を切らした蒼先生が病室に入ってきて。
「はぁ、ごめん。……遅くなった」
「蒼先生…」
「あ。今診てくれてた途中?ごめん、続けて」
「あ、はい」
果織ちゃんの服の中に手を入れて、心音をとる。
蒼先生は島内さんに寄って、体温やらを聞いていて。
「……ッゴホゴホ」
「果織ちゃん…ちょっと緊張してる?」
コクリと頷いた果織ちゃんから聴診器を抜いて。
「………俺でも緊張してくれるんだね」
とか、訳わからないこと言っちゃって。
「だって………想良先生だもん」
「…………」
い、今…
想良先生…………って呼んでくれた…!?
「か、果織ちゃん………」
「…ね、想良先生。これから想良先生って呼ぶね」
消え入りそうな声で言われて…嬉しくて思いっきり立ち上がってしまった。
「想良先生って呼んでくれるの!!ありがとう!!」
「ッ………うるさいなぁ、高島」
思わず声を上げた俺に苦笑いを向けた蒼先生が言う。
「ああ、すいません」
「だって……蒼先生も下の名前…だし、」
そう言う果織ちゃんは、本当辛そうだった。


