泣きやんだ季蛍の頭を撫でてから
「……今日はできるだけ食べてほしい。」
「無理」
……即答すぎて高島と顔を見合わせて苦笑いしていると、
「…今日はなにも食べないから」
「そんなこと言うなって。」
「バカ、食べないもん」
……吐くから。
「…高島がいるとき食べればいいだろ、そしたら吐いたって高島いるし…」
「高島先生いても苦しいもんは苦しいの!!吐くのどんだけ辛いかわからないんでしょ………」
「……ごめん」
確かに…わかんないけど…。
「………じゃあ無理しない程度に食べて」
「だから食べない!!」
………はぁぁ。
トントンッ
ガラガラ………────
「あっ、すいません……お取り込み中…でしたか?」
「大丈夫だよ」
高島が言えば看護士が入ってきて。
「えーっと………その…蒼先生…」
「俺?…患者さん?」
「あ、はい。」
『最初は一緒にいるって言ったもん』
という季蛍の言葉が頭を二度ほど駆け回って。
だけど、
「わかった。すぐ行く。
じゃあ…………高島ごめん、頼んだ」
「了解です」
涙をまた目にいっぱい溜めた季蛍が視界に入ったけど、そのまま病室を出て行った。


