「あーもう髪絡まるなぁ。

湿気ヤバい………もうピョンピョン跳ねてるよ~髪が」







髪を解かしながら制服に着替えた愛優がリビングに来て。







机の上の朝食に手をつけないで、子供みたいに手弄りしている季蛍と、その机の上でお弁当を包む俺。








その間には重苦しい沈黙で。











その光景を見た愛優は、髪を解かしていた手を止めて、一瞬何かを考えたようだ。








「…はい。愛優お弁当」







「…あ、……え、うん、ありがとう」








どうやら状況を悟ったらしく、








「……早く仲直りしてよね。気まずいのは私なんだから」








俺にだけそう呟かれた。