「…ただいま」
荷物を下ろして俯く季蛍を覗き込んだ。
「なんかあった?」
「……グス」
突然泣き出すことも、最近ではよくある光景になった。
「……どーした?」
そんな時は…泣くなと言うより、受け止めてあげた方がいい。
今までの俺の経験上。
「ふえぇ……ヒッグ……グスン…」
子供みたいな泣き方するなぁ…なんて思いつつ季蛍の涙をそっと拭って。
「ほら、おいで」
ソファに腰掛けた俺が手招きすれば、引きつけられるように俺の元へ。
「あお…っ」
「よく泣くねぇ。………最近は」
「ヒッグ…………」
「今日なんか食べれた?」
「……ううん」
「……マフィン食べる?」
「うん」
顔を上げて俺のことをじっと見つめる季蛍を見て、黙っていられず抱きしめてしまった。
「……もう泣かないの。苦しくなるだろ」
結局は泣くなとか言っちゃうんだけど。


