だけど俺が季蛍を見つけたのは、医局ではなくて中庭で。
明らかに様子のおかしい季蛍に近づけば、しゃがんで苦しそうな息を繰り返していた。
「どうした?」
季蛍の額には冷や汗が浮かんで、潤んだ目で苦しいと訴えるようにして俺を見上げた。
発作?
そう思った俺だったけど、いつもより明らかに苦しそうだった。
ほとんど呼吸ができていないみたいだし、顔色は今までに見たことがないほど真っ青だった。
「おい、季蛍?……ほら」
差し出した吸入さえも吸えない……まず口が開かないほどまでになっていて。
「季蛍、意識飛ばすなよ?………季蛍?」
「無……」
たった一文字だけ聞こえたけど、それ以降はさっきより更に顔を真っ青にさせるだけで。


