ガラガラ………── 「蒼先生…」 「ん?」 「季蛍、何にも覚えてないって言ってるんですけど。っていうかぼーっとしてて話してくれないって言うか」 「…………季蛍にさ、さっき車で戻したこと覚えてるか聞いてみて。」 高島が一度診察室に引っ込み、その何十秒後かにまた出てきて 「……全く覚えてないみたいです」 「嘘だろ…」 俺は立ち上がって高島の入る診察室に入った。 「……季蛍、マジで覚えてないの?」 「う………ん」