さっきはうんって言ってたくせに。 いざとなると、 「……やっぱ蒼無理…」 とか言い出す。 もう診察室来ちゃってるから。 「……いいじゃん、俺なんだから」 「蒼だから無理なの……」 「……なんかよくわかんないけど」 そう言いつつ診察室の机の上をあさる。 「……あれー?聴診器どこだ」 なんてブツブツ言っている俺の耳に届いたのは 「……恥ずかしいし」 あ、なるほど。 そういうことね、なんて思いながらまた季蛍の前にしゃがんだ。