服のボタンを留めながら季蛍が俺の向かいに座る。 「………。」 「ほら、食べて」 玉子焼き、ウインナー、白米、納豆、味噌汁…。 『和』で揃えた朝食を前に、箸すら持たない季蛍。 「……食べろ」 「急いでるときくらいいいじゃん…」 「俺が起こしたおかげでまだ時間あるもん」 「……まだってあと10分しかないよ?家出るまで」 「10分も」