そんな日が何日も続いたある日のこと。
「──では只今専門医に代わりますね。
季蛍先生ー、お願いしますー」
「はーい」
看護士の声を聞いて、立ち上がった時。
目の前が真っ白になって、手を机についた。
しばらくすればおさまるだろうと思って、我慢していたが…
「季蛍先生?………ど、どうしたんですか?」
と言う声を聞いて、ようやく目を開ける。
手をついたと思っていたのは机じゃなくて、床で。
「季蛍先生?…季蛍先生?」
「………」
「季蛍さん?わかる?」
聞いたことのあるような声に、少し反応しながらも…相変わらず視界は真っ白で。
「きーほーさん?」
「…港………………くん」
「そう、俺。……どうした?」
なんとか落ち着かせようと深呼吸しながら、瞑っていた目を開けると、しゃがんで覗き込む港くんがいた。
しゃがむ港くんの膝には、ファイルが乗せられていたんだけど…
その表紙に書いてあった文字が読めないほど、視界が揺らついていた。


