どうしようかと色々
悩んでいると、
「ははっ、考えすぎでしょ」
隣から笑い声が聞こえてきた。
「えっ?あ、ごめんっ」
「すっげー眉間に
シワ寄ってたよ、今」
「え~!やだぁ!」
慌てて眉間を手で撫でると、
建吾くんは更に笑う。
「愛梨沙ちゃんって面白いね」
「どこも面白くないよ~っ」
アホって言われなかっただけ
マシか、と思っていると、
建吾くんが少し真面目な
表情になって口を開く。
「…今日は、どうしたの」
「えっ?」
「なんか……泣いてたみたいだから」
その言葉で頭に浮かんだのは、
今日の昼休みのこと。
「……あれは…」
『お弁当作り忘れたのを、
葵くんにどうでもいい
みたいに言われちゃった』
そう言いそうになって
止めた。
……これじゃまるで
葵くんが悪いみたいだ。
そうじゃなくて
あたしが悪いんだよね……?
「…ほら」
あたしの考えを制止する
ような声に顔をあげると、
真っ直ぐにあたしを見る
建吾くんがいた。
「そうやって1人で
考え込んじゃうから
分かんなくなるんだよ。」
責めるような言い方ではなくて
ただ、あたしのために
叱ってくれるような言い方。
「……ごめん…」
「謝んなくていいんだよ」
ニコッと笑う建吾くんを見て、
脳裏に蘇る。
―――『謝んなくていーの。
ただ愛梨沙は逃げ癖があるじゃない?
それって大事なものも
逃がしちゃうと思うの』
―――あたし
また逃げようとしてた……?
葵くんが悪いんじゃなくて
あたしが悪いんだって
自分責めることで
本当は気付いてること
気付かないフリして―――……
