真ん中ら辺の席に
座った建吾くんの隣に
座ったのはいいけど、
何を話せばいいのやら。
チラッと建吾くんを見ると、
浅く腰かけて前のめりになり、
肩に重心をおいて
机の上で手を組んでいる。
ぐるーっと教室内を見渡し、
「6組とあんま変わんないねー」
と柔らかな表情で言った。
「あ、そうっ?そうかもね!」
「愛梨沙ちゃんは6組
入ったことないの?」
そう尋ねて目を合わせてくる
建吾くんに、なんとなく
恥ずかしさをおぼえながら
「入ったことはない…かな?」
「入り口にはいつも来てるよね。」
「あ…うん…」
『葵に会いに』って
意味が読み取れて、
あたしは小さく頷いた。
少し気が落ちたのを察したのか、
建吾くんは明るい声で
「俺、葵とは
小学校から仲良いんだよ」
あたしに向き合うように
座り直しながら言った。
「そうなのっ?長いんだね!」
建吾くんは笑顔で頷き、
「だからさ、まぁ言い方
よくないかもしんないけど、
アイツのことはだいたい分かるから。」
小学校から一緒なら、そうだよね。
「なんでも聞くよ?話。」
優しくそう言われて、
緊張や恥ずかしさが
一気に軽くなった気がした。
「うん…ありがとうっ」
「いーえ。」
まず、何から話そう。
この人はどこまで
知ってるんだろう?
葵くんがあたしの話を
友達にするわけもないし……
