キミのための声






次の日の昼休み、
あたしはさっさとお昼を食べて
1人で屋上へ向かう。




重い扉を開けて足を踏み入れ、
フェンスの所まで歩く。





そこから見える景色は、
とにかく綺麗だった。




高いビルや大きなお店などが
数え切れないほどに立ち並び



その上には
青空が広がっている。




あたしはこの景色を見るのが好きで、
よく1人でここに来るんだ。




「ふー…」




フェンスの前で腰を下ろし、
昨日由香に言われた
言葉を思い出す。





『このままウジウジしてても
どうにもならないんだから、
フラれようがなんだろうが
告白してきなよ!
告白しちゃいけないなんて
ないんだし、早くしないと
他の女子に取られるよ!?』





……うん




由香の言っていることは
よく分かる。




これからただ遠くから
彼を見つめているだけでは、
何にもならない。



だからって、
諦めたいとは思わない。




ただの一目惚れだけど、なんか……




とにかくドキドキするんだ。




告白なんてしたら
フラれるに決まってるけど、
想いを伝える前に
誰かと付き合う葵くんを
見るのは辛い。





だったら





当たって砕ける方が―――……










「―――あ。」







左方から聞こえた、男の声。





びっくりして左を向くと






そこには、他の誰でもない






葵くんが立っていた。







「―――あ、葵くん…」