キミのための声







「あおい、くん?」




繰り返して尋ねると、
由香は頷く。




「そうっ!…最も、愛梨沙の
言ってる王子様が、その葵くん
とは限らないけど――……」




そこまで聞くと、あたしは
ダダッと走り出して
先程『葵くん』の名を
口にした女子の元へ。




「ねぇっ!!」



「きゃ!な、何っ!?」



ガシッと彼女の腕を掴み、
直球でぶつける。





「『葵くん』は何組!?」





彼女もその周りにいる女の子達も、
目を丸くしてあたしを見ていたけど
すぐに元の表情になり、




「あぁ…葵くんは確か
6組だったと思うよ」




「ありがとうっ!」




あたしは再び走り出し、
1個上の階の6組へ向かう。





顔、確かめに行かなきゃ!




あの人じゃないかも
しれないけどっ……




…でも なんでだろう





きっと、そうだと思ったんだ。







お昼だけど、廊下には
ちらほらと生徒が居る。



6組の前に来ると、
まず廊下に目を光らせる。




……いない。





あの超美形で




ちょっと冷めた感じの…








「――てか葵もさぁ、
昨日来ればよかったのに!」





後方から飛んできた、男の声。





『葵』…?




『葵』!?





勢いよく振り向くと、
少し先の方からこちらへ
歩いてくる5人の男子。



パッと見、チャラそうな。




うわ、右の人の髪色すごいなー……
派手な金髪が、よく目立つ。




そんなことを
思いながら見ていると




目に飛び込んだ、
見覚えのある顔。




5人の真ん中に居て、
いちばん背が高くて




遠くから見ても





キラキラしてて―――……







「…居た……。」





ドキン、と心臓が高鳴る。






あの人だ





あの人が今日の朝―――……