キミのための声







い、いいい1年!?




同い年!?





―――し……





「信じられないっ…」




「声に出てるけど」




「えっ?あ!すいません!
その、変な意味じゃなくてっ」




「……まぁいーや。それじゃ」




「へ?」




テキトーすぎるさよならを
言い残し、彼はそのまま
教室へ向かっていく。




あたしはただ呆然と
その場に立ち尽くしていた。




彼の姿が見えなくなるなり、
つい声に出た言葉。





「かっ…こいい……。」







中山 愛梨沙




15才。





本日





恋をしました。









「―――背が高くてサラサラな茶髪で
美しい瞳の王子様あぁ!?」





あたしの目の前で、
顔をしかめて身を乗り出して
きたのは由香。




「そうなのっ!
もうすっっっごーく
カッコよかった!」




思い出すだけで顔が火照って、
ドキドキする。




かんぺき、一目惚れだ……。





由香は呆れたと言わんばかりに
大きく溜め息をついて、



「そんなイケメンが居たとしても、
あんたとどうにかなってくれる
わけがないでしょ?」



「うっ…そ、それは」



確かに、と頭で認めてながら
何も言えなくなったあたしに、
由香は綺麗な黒をした
ショートの髪を指先でいじりながら、
「あ。」と声を漏らす。





「……もしかしてその王子様って」




「え!?由香知ってるの!?」




あたしは思わず勢いよく
立ち上がり、そのせいで
イスが派手な音を出して後ろへ倒れた。