あたしはピンッと背筋を張って、
「ち、違うんですっ!
今のはなんというか、
勢いが余って…!
ていうかなんかここ
滑りやすいですよね!」
……うん、イタい。
なんかもう、救いようがない。
その男子生徒は、
更に笑いをこらえるでもなく
何かツッコむわけでもなく、
あたしの足に目をやる。
「…膝、結構痛そうだけど」
一体いくつ年上なんだろう?
ものすごく落ち着いてるっていうか、
大人の雰囲気がある…。
3年生かな。
そんなことを
頭に巡らせながら、あたしも
自分の膝に目をおとす。
「や、大丈夫ですっ!
全っ然大したことないんで!」
「……そう」
今にも首を傾げたそうな
表情の彼との間に、
微妙な空気が流れる。
じっとあたしの膝を見つめる彼を、
あたしはじっと見つめる。
……この人
なんか、すごく
カッコよくないですか…?
かなり背高いし、
少し着崩した制服も
怖いくらいに似合ってる。
肌もすごい綺麗だし
なんか
王子様……みたい。
きっと、可愛い彼女さんが
居るんだろうなー。
色々な妄想にも似た想像を
膨らませていると、
彼の視線がチクッと刺さる。
「……なに」
「えっ?あ、いえ、なんにもっ!」
「…てか何で敬語なの」
ぶつけられた素朴な疑問に、
あたしは首を傾げる。
「え?だってそりゃ、先輩ですし――…」
「1年なんだけど。」
………え?
