私は再びヘンタイを押し返そうとしたけど、今度はビクともしなかった。


 後ろは壁。

 逃げ場が無いよー!


 私は涙目になりながらヘンタイを見た。


 ヘンタイは我慢出来ないというような表情で


「今日はデートだし。いいよな?」


 と言ったかと思うと……。


「ん……っ!」


 私の唇に、ヘンタイの唇が押しつけられていた。


「ん、ふ……っ」


 必死に声を抑える。

 ヘンタイのキスは強引で、舌を入れてきて、私の舌と絡め始める。


 私は必死に逃げるけど、上手く逃げられなくて、捕まった。


「ふう……!」


「ヤバ……」


 ヘンタイの胸板をドンドンと叩くけど、返ってきたのはその言葉だけ。


 何がヤバいのよ!


 アンタのがヤバいから!


 や、私のがヤバい。

 もう息が上手くできなくて、苦しい……!


 ヘンタイがキスを止める。


 私を息を切らしながらヘンタイを睨む。


「ハア……ハア……最低ッ」

「若桜ちゃん、あんまり抵抗しなかったね」


 私の顔が熱くなる。


「だ、だって……!」


 私は言葉に詰まる。



 正直、嫌じゃなかった。



「んじゃ、行こっか」


 そう言ってヘンタイは私の手を引いた。