中々口を開こうとしない。 ぐん、と周りの温度が上がった気がした。 心臓がばくばくと脈打って、耳元がじんじんと熱くて、指先も足もかたかた震えていて、恐らく泣き出しそうな表情なのであろう私の姿は、この上なくみっともない。 「あのさ、宮本、」 いきなり名前を呼ばれ、驚きのあまり、声は喉に張り付いて出てこない。 代わりにはくはくと口が動き、息を吸うしかできない。 これじゃあうちの水槽の中にいる金魚となんら変わらないじゃないか。