「ごめん、大丈夫?」 少し驚いた顔をした近藤くんは、黒い大きなリュックを胸に抱えていた。 「あ、うん!大丈夫。ごめんね、ちゃんと見てなくて。」 あ、リュック、ノースフェイスだ。 弟も同じブランドのを使ってる。 「宮本さん、で合ってるよね?ばいばい。夏休み楽しんで。」 ふっと笑った近藤くんの表情は、作り物のようだった。