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警視庁特捜の刑事が、石井に近づいてくる。

「警察庁の石井さんですね」

「はい。状況はどうですか?」

「見てのとおりです。目撃者によると、トイレから戻った加害者が、いきなり被害者の部長に切りかかったと言ってました。そして、自分の首をスパッと切ったらしいです」

「携帯電話を持ってませんでしたか?」

「ありますよ」

刑事が、鑑識官に、
「携帯は?」

「ここにあります」

ビニール袋の中に入った血がべっとりついた携帯電話を手に持っている。どう見ても使い物になりそうに無い。

「ひどいですね。内部データを鑑識で取り出してください」

「それはしますけど、データが生きていればいいのですが……」