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石井は、5階の内科病棟の510号室についた。
病室の名札には何もかかれていないが「面会謝絶」と大きく書かれたプレートが下げられている。
石井は、病室の前で立って待つことにした。

ナースセンターから背の高い看護婦が、近寄ってくる。

「すみません。失礼ですが、どちら様で?」

石井がナースセンターに一言いうのを忘れた事を後悔した。

「警察の者です。白鳥由香さんの警護に来ました」と警察手帳を見せた。

「……そうですか。お疲れ様です」と言って、ナースセンターに戻った。
その後すぐ、丸椅子を持ってきてくれた。

「ありがとう」

ここで待っていると由香さんの母親に会えるかも知れない。寝ているなら会えないが、寝ている筈がない、トイレに出たり、いろいろと身の回りのものがいる筈だ。石井は辛抱強く待つことにした。

石井は足を組んで、じっと待っていた。
夜中の病室は気味が悪い、廊下は蛍光灯の明かりで照らされているが、何か光り方が違う。病室からは、奇妙な声も聞こえる。人は朝方死ぬとよく言われる。それを石井は感じ取っている。

 看護婦がバタバタと動き出した。ナースセンターで、ピーと言う嫌な音の警報がなっている。