アバター

石井はロビーに出て、事務所で待機している中渕に電話した。

「もしもし、石田だ。起きているか?」

≪起きてますよ。どうなりました?≫

「意識不明だ、医者も何も分からないと言っている」

≪そうですか。携帯はありますか?≫

「あると思うが、母親が持っていると思う」

≪携帯を絶対に確保してください。沢山の情報が入っています≫

「分かった。そっちでも、何かわかったか?」

≪ネットでいろいろ調べていますが、何も引っかかりありません≫

「俺達は、朝までここにいる。中渕は、そこで情報の収集を行なってくれ」

≪察庁(サッチョ)に泊まれと言うことですか?≫

「初動捜査が肝心だ。今回は、自殺者は生きている。携帯電話もある。自殺の原因がわかるかも知れないんだ。頑張れ!」

≪了解≫

石井は携帯電話を切って、対話室に戻った。

「小林、ここで、仮眠を取ってくれ。私は、由香さんの病室を警護する」

「分かりました。交代の時、起こしてください」