アバター

時計は午前三時を過ぎていた。

母親が安心して台所、キッチンを片付けだした。

「もう、びっくりした。気でも狂ったのかと思ったよ」
母親も落ち着いたのか、少し笑った。

ソファーに横になっても、震えがまだおさまらない純也に、父親が、
「そのアバターって、誰だ」

「自分のアバター」

「意味が分からん」

純也はテーブルの下に落ちている自分の携帯電話を指差した。

父親がそれを純也に渡す。純也が恐る恐る携帯を開け父親に画面を見せる。
その携帯画面には、戦闘服姿の完全武装で銃を持ったアニメの少年が笑っている。

「これが僕のアバターだよ」

「これが夢の中で襲ってきたのか？」

「そうだよ」

「ハハハー、お前携帯のやり過ぎだ！頭の中が携帯で一杯になっているんだ」

父親は、まだアバターの意味が分かってないが、携帯のやりすぎで夢を見たと思っている。

母親が後ろを振り向いて、「もう純也。勘弁してよー」

「だけど、本当に襲って来たんだよ、アーミーナイフを振りかざして来たんだよ」