アバター

四人はそれぞれ名刺を差し出し挨拶をした。

「どんな具合ですか?」
石井が聞いた。

「んー。そうですね。意識不明です。何か強いショックを受けているようです。目を醒ましたくないようです」

「外傷は?」

「ありません」

「強いショックとは何ですか?」

「分かりません」

「意識は戻るのですか?」

「分かりません」

「病名は?」

「分かりません」

医師は分かりませんを連発している。

小林がイラついて、
「母親と面談できませんでしょうか?」

「今日は無理です。娘さんに付ききりです。明日になれば大丈夫でしょうが?」

桜田が少しため息をついた。

医師が桜田を睨んだ。
「正直、私もこのような症状は初めてです。明日になれば、精神科の専門医が来ますので、何か原因が分かるかもしれません」