アバター

「何人の少女、少年を殺せばすむの!!」
磯山が髪を振り乱して叫ぶ。

石井は拳銃を握りしめ中渕の頭に狙いをつけた。

「石井主任!あなたの事は私がよく知ってます。その引き金を引くことはできません。いくら私が憎いでも引けません。撃ちたければ、指に力を入れてください。よーく照準を見て私の眉間に狙いをつけてください。絶対にはずさないようによーく見るのですよ。よーく見るのですよ。よーく、よーく……」

石井の頭の芯から中渕の声が聞こえてきた。
体が急にフワァと浮き上がる。

「話を聞いてはダメー!一点を見てはダメ!催眠術を掛けてるのよ!キャー!キャー!キャー!!」
磯山が叫び続ける。

磯山の叫びが頭の芯から何かを追い出し、石井は我に返った。激しく瞬きをする。

「フー、貴様は小林を殺した。それでも俺が人生をかけると思ってなかったはずだ。バカなやつだ。今まで俺は隠していた。俺の狂気を、ロック魂を。ハハハ……」
石井が銃を下ろした。

中渕がニヤついた。

石井も微笑んだ。