アバター

「ハハハ。データを転送した？バカなそんな時間はなかったはずだ。で、内容は何でした？」

「やっぱりお前はバカだね、なぜ時間がないと分かった。気になって作業室の外で聞いていたのか？」
石井が突っ込んだ。

「で、内容は？」
中渕がしつこく訊く。

「心配でしょう。居ても立ってもいられないでしょう。椿刑事に訊けば分かりますよ」
磯山が突っ込む。

不安になってきたのか？中渕は何かを考えている。机のノートパソコンを一瞬、見る。

「知らないみたいですね」

「あなたが一番知っているでしょう。私はアバターと聞きました。何かの手違いで送ってはならないアバターをメールと一緒に由香ちゃんの携帯に送ったんです。知っているでしょう！」
磯山が勝負にでた。

「私には関係ない事です。ちょっと知りたかっただけです。あなた達が逮捕された後、ゆっくり見させてもらいます」
中渕はするりとかわした。

「それと由香ちゃんを二度も殺そうとしたでしょう。明日には正常に意識が戻りますよ。唯一の生き証人ですからね、いろんな事が聞けますよ。もうどうにもならないですよ」
磯山が余裕の微笑みをした。