アバター

《SATの岩熊です。石井刑事ですか。すぐに武器を捨て投降してください》

「長官と話が終わったら、すぐに出る」

《すぐに投降しないと強攻突入します!》

「話が終わったら、すぐに出る!」

石井が受話器を激しく置いた。

「すぐに突入しますよ。武器を捨てた方がいいと思いますが?」
中渕が余裕の表情だ。

「すぐには突入はしない。中の状況を総て把握してからだ。30分はかかるだろう」
専門の小川隊長が言う。

「残された時間は30分ですか、好きにしてください」
中渕がバカにした口調で言う。

石井は磯山の顔を見た。磯山が証拠があると言った。本当に証拠があるのだろうか。長官は磯山の予想通り洗脳されていた。中渕も居た。このままでは間違いなく犯人に仕立てられる。磯山は何を出すのか予想ができない。犯罪心理学の権威に任せるしか石井になす術がない。

磯山が心配ない無いと言う顔で石井を見た。