「お父さんの後ろに、まだアバターがいる!」

父親は後ろを振り返る。めちゃくちゃになっている食器棚があるだけで誰もいない。

父は又、純也の頬を強くビンタをした。

純也が我にかえったのか、目を見開き、周囲をキョロキョロ見回す。

「アバターが怖い…。アバターが怖い…」

純也の目から涙が溢れ出した。

父親は正気に戻った純也から力を抜く。

純也をソファーに寝かせた。

母親が耳元で、
「どうしたの、怖い夢でも見たの?」

「……僕のアバターが……怖い。襲ってくる!」

父親が、
「純也、大丈夫だ。誰もいない。怖い夢でも見たのか?アバターって何だ?」

次第に正気を取り戻してきた純也が、

「アバターが襲ってきた!」

「夢だよ」

「お父さん。夢なんだね。夢なんだね」

純也がすがるように言う。

「そうだよ。夢だ。悪い夢を見たんだ」

「よかった。怖かった。もう、寝るのが嫌だよー!」

「今日は、ここに寝ろ」