アバター

渋谷がドアを開けた。

小川隊長と二名のSAT隊員が部屋の中に入ってきた。

「隊長!」

「警察庁の中が異様な雰囲気です。どうしました」

石井は早口で説明した。

「まさか!」

「事実です」
磯山が言った。

「私たちは、ここを脱出したいのです。無線で応援を呼んでください」

「この無線機は作戦用の短距離無線機です。本部まで届きません。長距離無線は車の中です。それよりすぐ近くの警視庁に逃げ込むのが得策です」

隊長が隊員に、
「おい。ドアにバリケードを作れ!」

会議室のテーブルでドアがガッチリとガードされた。

会議室は五階の一番奥になる。作業室、サイバー犯罪対策室の前を通りすぎないと、階段、エレベーターに行けない。

「窓に近づかないで下さい。狙撃されます」

隊長が石井の横に座り
「絶対安全な警察の頂点の警察庁が、なぜ?」