アバター

「プロならわかるでしょうが、素人の私が見て、これが怪物と判断して撃ち殺すわけには行きません。単に体調が悪い場合もあるでしょうし」

「そうです。それが犯人の優位なところです」

「犯人はどこにいるのでしょうか？」

石井が弁当をガツガツ食べた。

「私たちの近くにいることは間違いありません」

「怖いですね」


「今も監視されているかも知れません。警察庁を攻撃してきたのですから間違いありません」

石井は窓から見えるビル群を見て、犯人が自分を見ていると感じ背筋がゾクとした。

「アバサイトのＳＥの宮本はどうですか？」

「かなり疑わしいですが、警察との繋がりがゼロです。共犯の可能性があるだけで、主犯ではありません」

「私たちは何かを見落としているような気がします。もう一度、資料を最初から見る必要があります」

「外に出て捜査することはありませんか？」


「今のところはありません。相手はまた動き出すでしょう。その時が勝負です。負けると大変なことになります。今は、膨大な資料をチェックすることです」

磯山は弁当を食べ出した。