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石井は埼玉県川口市で起きた高校生無理心中自殺の現場検証を終え霞ヶ関の警察庁に帰っていた。

警察庁とは全国の警察を束ねている省庁だ。キャリア官僚がうごめく場所だ。

疲れた顔の石井がパソコンに向かってる。
中渕が横に座る。

「お疲れさま」
中渕が石井に声をかける。

「疲れたー。自殺の検証は、どんなものより悲惨だなぁ。死体は怨念で断末魔をあげているし、野次馬はたたりを恐れてあまり近づかない。鑑識も逃げ腰だ。家族、友達は途方にくれている。今回のは特に悲惨だ。まだ高校一年生の女子が彼氏を包丁でメッタ刺しにして、自分はベランダから飛び降り自殺している。彼氏は内蔵がドロッと流れでるほど刺されている。別れのもつれで激情したのか、凄かったぜー。デジカメで撮っているからデータベースに入れといてくれ」