アバター

仁美は食器コーナーの通路をデカイ派手なサングラスを頭に乗せ、鮎系のコスチュームをまとった自分のアバターと一緒に歩いている。



仁美はもうアバター無しでは生きて行けない。
面倒な彼氏や女友達なんか要らない。

アバターと出会って生まれて初めて生きていてよかったと実感した。

最初は家で携帯のアバターをいじっている時に、目の前に突然、等身大のアバターが現れ、びっくりしたが、
「怖がらないで下さい。私は貴女のアバターです」
と優しく言ったのでしばらく話すことにした。
話すと、アバターは仁美のいろんな悩みを知っていて的確にアドバイスをしくれるし、本物の鮎と喋っているような錯覚に陥った。
それから鮎と一緒に暮らすことになり、渋谷に買い物にも行った。鮎はセンスがよく仁美の好みの服を選んでコーディネイトしてくれた。