アバター

「なに…なに…」
携帯が繋がらないエリナが心配、由香は人だかりに中に入ってゆく。

駐車場はブルーシートが張られて、何も見えない。
マンションのエントランスに行くと、警官が入り口を塞いでいる。
厳しい表情の制服警官に、
「友達の家に行きたいんですけど?」

「何号室の名前は?」

「えーと。たしか1022号室の坂本エリナ」

「えっ!ちょっと待て!」

警官は私服の警官と話している。

私服の警官が優しい顔で、
「お嬢さん、ちょっとこっちに来てもらえない」

警官はパトカーの方に行く。

由香は逃げ出したかった。エリナに事件が起きたに違いない。私は何もしてない。

野次馬がパトカーに乗る由香を見てる。ザワザワ騒ぎだした。

生まれて初めて乗ったパトカーの中で警官は、
「警察庁の石井と申します」
ハデなバッチがついた警察手帳を見せられる。

「はい」

由香は怖くなり震えだした。

「エリナさんの友達ですか?お名前は?」

「はい。高校の同級生です。名前は白鳥由香です」

「何しに来たのですか?」

「駅前のバーガー屋で八時に待ち合わせしていたんです。来ないので来ました。携帯も繋がりません」