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「えー。何も起こりませんでした」

「後でお話をしたいのですが、会議室でお待ちなって頂けませんでしょうか?」

「はい」

「中渕、先生に今までの資料を見せてくれ。俺もすぐに行く」

磯山医師たちは部屋を出た。

「先生、足は何かぐるぐる巻きにして、歩けるようにしてもらえませんでしょうか?」

「動くと、出血するぞ」

「頼みます。車椅子では仕事になりません」

「包帯を巻いた後にしっかりテーピングをする。無理するなよ」

「わかりました」

右腕は、骨には異常がなく、シップを貼っただけだ。

石井はベッドから立ち上がった。足を幾重にもテーピングされ、杖をつけば何とか足を引きずって歩けるようだ。