その声で呼ばないで




「どういうこと?」




今度は名前が無いからって泣いたりしない。


助けを求めるようにちらりと由妃恵を見つめれば、



「も〜なっちゃん、席はこっちだよぉ!」



3人がL字型に座っている、ちょうどLの中部分、一番後ろの窓側につれて行かれた。



そこにはちゃんと私の名前が椅子の背もたれに書かれてあった。


  


「席移動してるよね?」




「うん、もちろん」




答えたのはトキ。



その低めの柔らかい声にどきりとするが、前のように顔にはださない。