その声で呼ばないで








「俺?俺の名前はね 橘 永希」











形の良い唇から知らされたこの名前。



男子にこの表現の仕方は間違っているのかもしれないけれど、



花のように微笑んだ君はとても可愛かった。


女の子の私なんかより全然かわいくて。


 

 
この何故か高鳴る心臓のトクトクいう音。



頬がこれでもかってくらい熱くなって。


君と目を合わせられなくて、顔が直視できなくて。



意地悪な君へのこの気持ちを認めたくなんかないのに。


こんな感情知らないのに。



私は_____








 雨の降る中学校入学式、私の名前を知っていてくれた君に、恋をした。












(たちばな とき、か……)













      

                                  、