青い空に、わたあめみたいな真っ白な雲がふわふわ浮かんでいた。


高校の入学式。

私、高橋文香は緊張と好奇心を抱え校門を飛び越えた。

高橋文香15歳、高校1年生、猛勉強のすえ、この東華扇学園に入学することができた。

(友達できるといいなぁ)

と、心弾ませならがら教室へ向かった。

どうやら私は2組のようだ。


教室に入ると、もうすでに新入生でいっぱいになっていた。

(私の席は…あった、3列目の3番目か…)

自分の席に着くなり後ろから…

「ねぇねぇ、名前は?」

振り向くと黒いロングヘアーの美人さんが話しかけてきた。

「あ、高橋文香です!えっと…あなたは?」

話しかけられて嬉しかったせいか、即答してしまった。

「あはは、気合い入りすぎでしょ!私は大葉紗江。呼び捨てでいいからね。」

…素敵な笑顔だなぁ。

そう思いながらお互いの事を話したりして、入学式を終えた。


校門を出て紗江とわかれた。

家に向かっていると、おばあちゃんが重い荷物を引きずるように運んでいた。

「おばあちゃん、持つよ!」

私はとっさに駆け寄っていた。

「おやまぁ、ありがとうねぇ。けど、これは女の子には…」

心配そうに見るおばあちゃんを横に私は荷物を持ち上げた。

(え、なにこれ…重すぎる…!!)

「歩けるかい?」

「う、うん!大丈夫!」

私は死ぬもの狂いで歩いた。
すると…

(え、荷物が軽く…)

振り返って見ると、ジャージ姿の男の子が荷物を持ち上げていた。

「女の子には重いでしょ。俺が持って行くから。」

と、笑顔を向ける彼。

(あ、かっこいい…じゃない!)

「だ、大丈夫です!私が…」

そういう私をよそに、その男の子はおばあちゃんと一緒に歩き始めていた。

(少し強引…?)

その後ろを私も追いかけて行った。


15分くらいで目的地に着くことができた。

おばあちゃんに、いっぱいお礼を言われその場を後にした。

(まぁ、最初しか持ってないんだけどね)

家に帰ろうとした時

「東華扇学園だよね?」

突然、あの男の子が話しかけてきた。

「え?あ、はい。そうですけど…」

「1年生…だよね、何組?」

(知らない人に教えていいのかな…)

「2組ですけど…あなた誰ですか?」

恐る恐るきくと

「俺?あぁ、井上春人。俺も東華扇学園の生徒だから。」

「え、そうなの⁉︎」

(じゃあ、また会える…って!なに喜んでるの!)

「そう、また会えたらいいね。んじゃ、ランニングの途中だから。気をつけて帰ろよ。」

そう言って走り去っていった。



家に着くと、お母さんが晩御飯を作っていた。

(今日はカレーかな)


部屋に入り着替えながら、今日の事を考えていた。

(井上春人…かっこよかったなぁ…。同じ学校って言ってたよね。明日会えるかな…)

今日寝るまで頭がそれでいっぱいだった。