「北の牢へ」
「は」
 清青は返す言葉も無く、両脇の人魚に連れられて行く。




「……二十年の禁固」
 流澪が言った清青の罰。

「どうして清青様が、悪いのは私のはず。私が清青様の唇に触れたのに、なぜ私は罰を受けないのですか」
「わかりきったことを」
 流澪は氷魚を抱き寄せる。氷魚の右手をしっかりと持って。
「あなたは我々の姫君だからです……氷魚」

「流澪、入るぞ」

 仕切りの向こうで汪魚が言う。流澪は一旦氷魚を離した。
「長」
「氷魚、清青のことは流澪に聞いたな」
 氷魚はうつむいたまま頷く。
「禁固……二十年」
「そうだ。二十年経てば何もしない、陸へ返す」
「兄上、私は……」
 汪魚は身を翻し、どこかへ泳いで行く。
「早う、流澪と結べ」
 そう残して。