どくどくと大量の血を水に溶かせているのは。

「清青様!」

 氷魚は叫び、その下へと急ぐ。
 ぐったりと岩にもたれ、悶える青い顔、その落ち窪んだ目は閉じている。
 肩と脇腹には矢。そして血の臭いに紛れて毒も。

 死んではいない。
 心の臓は弱々しくも鼓動を続けている。
 
 自分を救った、この鼓動を。 

 氷魚は零れる涙を拭い、キッと顔を上げた。

 助ける、と。
 そして自分にはそれを可能にする力がある。