そして清青の鴉面を見ようと、仕舞っておいた箱を開ける。
 ない。
 清青様の面がない。


 暗い岩陰。汪魚は流澪を呼んだ。
「長」
「昨夜、氷魚がどこで何をしていたか、調べよ」
「は」

 流澪の脳裏には、一昨日の氷魚の言葉が浮かぶ。

 一方、汪魚も感じていた。山と、都の匂い。
 流澪は去り、自身も長としての仕事に戻ろうと水中を行く。
「「父上」」「長」 
 日当たりの良いところで戯れていた二仔とその母が汪魚を呼び止める。しかし汪魚は振り向きもせず、そのまま進んだ。