ドドドドドド

 瀧の落ちる音だけが静かに、しかし確かに続く中、清青は呟く。
「私は、天狗だ」

「そんなに匂うのに?」

 清青は振り返る。
 何の影もない。
「誰だ」
 錫杖を持つ手に力が入る。
「瀧の裏です」
 答える声には無駄な力は入っていない。