「女嫌いのようなことを言って…」
《親の立場、というものがあるじゃろう》

 その屋敷を遠くから眺めるのは、深山と黒鳴。
 ちら、と紫青、即ち清青はそちらを向く。

「紫青様?」
 紫青は女へ向き直る。
 なるほど、母が推すのも無理はない。その容貌、親の位、申し分のないほどだ。しかし、真面目に扱ってやる気は毛頭ない。

「使いの者が申した通りだ」
「何と?」