と、その時、清青は手にしていた面をその手へ向けて投げた。水の飛沫をものともせず清青の面はシュンシュンと回転して、ヒメの手から琥珀色の球を弾き飛ばした。球は高く跳ね上がり、清青の手元へ。面はヒメの傍に落ちる。
 
 清青は深山の体を起こして、そっと球を口に入れてやる。指でそれを押し込むと、やがて深山がうっすらと目を開けた。

「清……青……」

「わかるか、深山」
 清青の顔から、ふっと安堵の笑みが零れる。

「……ああ」
 深山は、自分の体を支える清青の腕の温かさを感じながら、小さく頷いた。