「心移りか。今更にして」
深山は、木っ端を摘み上げてもてあそぶ。
「あの世からは連れ戻せぬぞ、さすがに」
「さぞ、怨んでおろう」
「お前を? 花の君が」
清青は、自らが彫ったものと、有青が置いていったものを見比べた。清青のものは、手本よりも厳しい表情をしている。
「己の前の道を捻曲げた者を、深山、お前は許せるのか?」
「俺は」
酒の上に木っ端を浮かべ、傾けてそれを眺める。深山はたいそう可笑しそうにわらった。
「そんな経験がない」
つられて清青も笑う。
「私は許せぬよ」
「誰を。君を? あるいは目合わせた母御か?」
「君や母上には、むしろ謝らなければならぬ。仏を彫るのは罪滅ぼしだ。私が許せぬのは、院だ」
「院、」
「あの時はまだ、帝だったがな」
「ああ」
氷魚を捕らえよ、と命じた人物。
「しかし、清青、院がお前を呼ばなければ、お前は白天狗の力に気づいていまい」
「そうだ。だからこそ、」
言いかけて、清青は続けなかった。自分の力、それは氷魚が諭してくれた。あの時の穏やかな気持ちを持ち続けて、半身が天狗、半身が人間という自分の生き方を探りたかったのだ。だのに。
深山は、木っ端を摘み上げてもてあそぶ。
「あの世からは連れ戻せぬぞ、さすがに」
「さぞ、怨んでおろう」
「お前を? 花の君が」
清青は、自らが彫ったものと、有青が置いていったものを見比べた。清青のものは、手本よりも厳しい表情をしている。
「己の前の道を捻曲げた者を、深山、お前は許せるのか?」
「俺は」
酒の上に木っ端を浮かべ、傾けてそれを眺める。深山はたいそう可笑しそうにわらった。
「そんな経験がない」
つられて清青も笑う。
「私は許せぬよ」
「誰を。君を? あるいは目合わせた母御か?」
「君や母上には、むしろ謝らなければならぬ。仏を彫るのは罪滅ぼしだ。私が許せぬのは、院だ」
「院、」
「あの時はまだ、帝だったがな」
「ああ」
氷魚を捕らえよ、と命じた人物。
「しかし、清青、院がお前を呼ばなければ、お前は白天狗の力に気づいていまい」
「そうだ。だからこそ、」
言いかけて、清青は続けなかった。自分の力、それは氷魚が諭してくれた。あの時の穏やかな気持ちを持ち続けて、半身が天狗、半身が人間という自分の生き方を探りたかったのだ。だのに。



