「たわけが」
深山が酒臭い息を吐いて笑った。日は高い。
「心を開いて欲しくば、先ず、お前が開いて見せろ。何故そうしたいのかは伝えたのか?」
こつこつと木を削り、仏を彫っていた清青は、胸を突かれたように瞳を開いた。
「なんだその顔は。白天狗ともあろう者が、そんなことも気付かないのか」
得意気に笑う深山に、清青はまた別の笑みを返す。
「私から溢れる気はお前の弱い頭にも効くことに気付いた驚きだ」
手の中の木仏に息を吹きかけ、木の粉を飛ばす。
「随分と器量の良い観音像だな」
「有青が、寺に置いていったものを真似たのだ」
「ほう」
「母御に似せたと言っていたな」
花の君は三年前の冬の終わり、仏に導かれてこの世を離れている。



