《起きたか》
「……黒鳴。何だ」
《解らぬ》

 滝口の辺りをじっと見つめている黒鳴に深山も倣う。 
「清影様は、何と?」
 深山は尋ねた。

《清青の母親に、あの二人を山に入れぬよう言われていたそうじゃ。それが守れんかった、と》
「……間に合わなかった、か」
《そうじゃな。儂らがもっと見張っておくべきだったかもしれぬ》
「それは」
《何、清影殿も儂らを責めているわけではない……来たぞ》
 黒鳴、深山はさらに身を乗り出す。
 
 さば、と水の中から現れたのは氷魚であった。滝の裏側へ向かう。深山と黒鳴もそこへ向かった。