「伊東くんって、寒いの苦手?」
「ん、得意なやつっているの?」
……私はわりと好きだけどなぁ。
そう伝えてみる。すると彼は信じられない、といった顔をした。
「だって、冬って美味しい食べ物が多くなるでしょ?」
「食べ物?」
「お鍋とかおでんとか、肉まんとか。」
あとシチューもある。
子供のように指を曲げながらそう数えていると、それ寒さ関係ないだろ、と突っ込まれて二人でクスクスと笑う。
こんなやりとりをすると、彼との空気はやっぱり心地いいと実感する。
そして、やっぱり私は彼が好きなのだと改めて思う。
彼とこうやって話すのは楽しいし、もっと声が聞きたいとも思う。
だけど、もっと。
もっと。話すだけではなくて、そのポケットに隠れている手に触れたいと思うし、触れてほしいとも思う。
もっと近い距離で彼の体温を感じたいと思う。
そんなことまで考えてしまうのは、欲張りだろうか。
冬の空気は澄んでいて、夜空に散らばった星はきらきらと輝いている。
それを見上げ、よし、と心のなかで決意する。

