初恋は雪に包まれて



襟に手触りの良さそうなファーがついた茶色いレザージャケットにほどよくゆったりとしたジーンズ、そしてスニーカー。

伊東くんを見ていると、体のバランスが良いとこんなシンプルな格好も様になるのだといつも思う。


「電車止まっちゃってるね。」

「ん、歩こうか迷ってた。」

「伊東くんも?」

じゃあ、小山もか。と微かに笑う彼に頷く。

そして自然と二人の足は人混みから遠ざかっていた。今夜は長いウォーキングになりそうだ。




ヒールの無い靴にしておいて、よかった。

きっと優しい彼は私の小さな歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれているのだろうけど、それでももし踵の高い靴だったら大変だっただろう。

夜にかけて寒さが更に厳しくなる中、マフラーをしっかりと巻き直し、手袋も嵌める。


「それ、この間買ったやつか。」

「ふふ、うん、すごい暖かいよ。」

それは良かった、と言う彼の口から吐く息は白い。

黒の小さなボディーバックを背中に回している彼は両手をジャケットのポケットに仕舞いながら歩いている。